出産を経験したことの無い女性の中には、分娩時の痛みに対する不安や恐怖を抱えている方も多くいるのではないでしょうか。できれば痛みを感じる時間は短く、安産であって欲しいと誰もが願っているはずです。
出産に適した安産型の体作りを行うことは、実際のお産をスムーズに進め、出産に対する恐怖を和らげるのにとても効果的です。では、どのような体が安産型の体と言えるのでしょうか。

目次
そもそも安産型とは?
安産型という言葉を聞いて、一番最初に思い浮かぶのは「お尻の大きな女性」ではないでしょうか。実際に「あなたは安産型ね」と言う人は、相手のお尻を見てそう言っているはずです。
なぜなら、安産型の体型には他にも様々な要素がありますが、ぱっと見ために一番分かりやすいのがお尻だからです。
安産とは、滞りなく出産が済むこと
確かにお尻が大きいというのは安産型の要素の一つにカウントされるかもしれませんが、お尻が大きければ安産になるというわけでは決してありません。出産とは、骨盤をくぐり、産道を通って赤ちゃんが出てくる過程です。
その過程のすべてが滞りなく進むことを安産と言います。では、どのような体型であれば出産を滞りなく進めることができるのでしょうか。
安産型の体その1:骨盤が広い
お尻が大きい人が安産型体型だと言われる理由は、お尻が大きい人は骨盤が広い傾向にあるからです。逆に言うと、たとえお尻が大きくても骨盤が狭ければ安産型体型とは言えないということになります。
とはいえ、小柄で細い人よりは体の大きい女性の方が安産型の可能性は高いと言えます。
骨盤が狭いと起こりうるトラブル

妊娠中期から後期までがっちり赤ちゃんをキャッチしていた骨盤が、出産の際に横に広がり、赤ちゃんはその開いた隙間を通って出てきます。
元々の骨盤が狭いと、開いた骨盤の隙間も狭いため赤ちゃんの頭が通りにくく、難産になる可能性が出てきます。赤ちゃんの頭が骨盤にはまって出てこられなくなってしまい、急遽帝王切開に切り替えたという事例もあります。
安産型の体その2:骨盤の形が正常で理想的な型
たとえ骨盤が広くても、形が歪んでいたり理想的な型でなかったりすると、骨盤が狭い場合と同様に難産になる可能性があります。骨盤の型には四種類あり、前後と横の長さが均等な「丸型」が最も出産に適した型になります。
その他に「男性型」「扁平型」「細長型」の骨盤がありますが、最近は細長型骨盤の妊婦が増えているようです。
日常の癖で歪みが生じることも
骨盤を正面から見た時、逆三角形の形になるのが理想的な骨盤の形ですが、日常の癖や行動が原因でゆがみが生じてしまうことがあります。
椅子に座るときに足を組んだり、カバンをいつも同じ側の肩や手に掛けたり、横座りをしたりなど、無意識に繰り返しているうちに前後左右に骨盤がねじれてしまったり、四角く開いてしまったりするのです。生まれ持った骨盤の型は変えようがありませんが、骨盤の歪みは普段の生活で気を付ければ防ぐことができます。
安産型の体その3:太り過ぎていない

先ほど骨盤の広い人が安産型であり、お尻の大きい人は骨盤が広い傾向にあると言いましたが、太り過ぎは難産の原因になります。産道に脂肪がついて赤ちゃんが出てくる道を狭めたり、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になるリスクを高めてしまうからです。
妊娠糖尿病になると赤ちゃんが育ちすぎて産道を通りにくくなるため、インスリンで妊婦の血糖値をコントロールしたり、帝王切開で早めに赤ちゃんを取り出す必要が出てきます。
妊娠高血圧症候群になると?
妊娠高血圧症候群になると分娩時出血が多くなったり、貧血や疲労につながったりします。妊娠中の体重増加は、妊娠前のBMI値にもよりますが、標準値の人で7~12キログラムが目標です。
安産型の体その4:体力がある

出産にはとても体力を使います。個人差はありますが、10分おきの陣痛がきて子宮口が全開になるまで、初産婦で10~12時間ほどかかります。
痛みと闘いながらも、来るべき分娩第二期に備えて体力をつけなければならないので、陣痛室では食事が出たりします。子宮口が全開になり、分娩台に乗って赤ちゃんが生まれるまでは、初産婦で1~1.5時間かかります。
しっかりいきめることは出産において重要
この間は陣痛の波が来るたびに、腹筋に力を入れておへそを見るような形で力いっぱいいきみます。陣痛が長引くと、眠れないうえに食事ものどを通らないので、分娩台に上がる前にへとへとになってしまいますが、しっかりいきめないと赤ちゃんが出て来るのに時間がかかって難産になってしまいます。
妊娠前から運動を習慣づけし、妊娠後は安定期や臨月にウォーキングなどの安全な運動を取り入れて、出産に耐えうる体力づくりを心がけましょう。
安産型の体その5:体に柔軟性がある

妊婦の体が硬いことも難産の原因になります。まず、体が硬いと出産時の体勢に影響がでます。分娩台に乗る際、妊婦は大きく両足を広げて足のせ台に乗せますが、股関節が硬いと乗せるだけでも一苦労です。
また、股を開いた状態でいきむのも困難になりますし、足がつってしまうこともあります。赤ちゃんが通る産道が硬いのも良くありません。
出産前の準備としておすすめなストレッチ
陣痛が始まってから分娩台に乗れるのは子宮口が10センチ以上開いてからになりますが、子宮頚管が硬く子宮口が開きにくいと陣痛が長引きます。
会陰部が伸びにくいと赤ちゃんが出てこられないので、自然に裂けてしまう前に切開することになります。妊娠前からストレッチをして柔軟な体作りを心掛け、妊娠後はマタニティヨガの教室などを利用して出産に備えることをお勧めします。
安産型の体は健康的な生活習慣で作られる
安産型の体は、体の大きさや骨盤の大きさ、骨盤の形など、持って生まれた変えようのない部分もありますが、努力次第で作り上げることが可能な部分もたくさんあります。
運動やストレッチ、太りにくい生活習慣や骨盤矯正などは、出産だけに限らず健康的な生活を送るのに必要なことばかりです。予定の有無に関わらず、普段から健康的な生活を送ることが、安産の可能性を高める最善の方法と言えるのではないでしょうか。